巨石の重さはどのくらい?

 生駒山系は※花崗岩質でできている事はよく知られていますが、くろんど園地やほしだ園地には多くの花崗岩の巨石が見られます。

 

花崗岩:マグマが地下深くでゆっくり冷えてできたもので、後に地殻が

     隆起して地表にでてきました。

 

 写真1~8はくろんど・ほしだの主な巨石です。人が写っている巨石を見るとその大きさが想像できるでしょう。目測ですが、一番大きなものは鏡岩で縦・横・高さが10数mはあり、数mサイズの岩はたくさんあります。ほしだ園地にほど近い磐船神社の御神体の巨石は高さ12m、幅12mです。 

 

写真1 鏡岩(下部)と上部の岩     写真2 鏡岩上部の岩にレンジャー

   (私市山手の土生川上流)

 

写真3 鏡岩基部            写真4 龍岩窟の逆三角の巨石

                       (鏡岩の基部下にあります)

 

写真5 水舞台の巨石(くろんど園地)   写真6 クジラ岩

                                                       (くろんど園地 スイレン池下) 

              

写真7 ハンバーガーストーン      写真8 観音岩(交野山)

   (ほしだ園地)

 

 さてこの巨石ですが、一体どのくらいの重さがあるのでしょうか? 

巨石の大きさと密度を仮定して重さを計算してみました。

    

  表1                              岩石密度≒2650Kg/㎥

巨石 大きさ(仮定) 体積(㎥) 重さ(Kg) 人換算(人)
鏡岩

≒15x15x15m

3,375 8,943,750 162,614 
観音岩 ≒10x10x20m 2,000 5,300,000 96,364 
水舞台

≒5x5x5m

125 331,250 6,023 
龍岩窟

≒1/2x6x8x6x2m

48 127,200 2,313
くじら岩 ≒2x2.5x7m 35 92,750 1,686
ハンバーガー ≒2.5x3x4m 30 79,500 1,445

 (大きさは計測したものではなく外観より多分このくらいと言う推測です)

 

 巨石の重さは表1のようになります。重さがKgではピンときませんが、

鏡岩は約9000トンで、乗用車一台が約1トンとすると9000台分の重さです。人の体重を55Kgとすると鏡岩は約16万人分の重さと言うことになります。

ハンバーガーストーンは約1400人の重さです。 

 想像を絶する重さですが、科学や文明のない太古の時代、巨石を見て人は自分の非力さを知り、その大きさに畏(おそ)れや感動を抱いたことでしょう。

そこにに神が宿ると考えたのも自然な成り行きではないかと思います。

 

 これらの巨石には、色々な人との関係が歴史に残っています。
鏡岩や龍岩窟は獅子窟寺から月の輪滝に至るルート中にありますが、1300年ほど前には空海や多くの山岳僧が修行のため訪れたのでしょうか、巨石が岩窟となっている所には不動明王が祀られています。

 

 磐船神社の巨石には、※饒速日命(にぎはやひのみこと)が天の磐船に乗って哮ヶ峰(たけるがみね) --ほしだ園地のピ トンの小屋前に見える-- に降臨したとの伝説があります。また加藤清正が大阪城築城のため磐船の巨石を石屋に命じて割ろうとしたところ、石から血が出たので石の運び出しをやめたとの話もあり、今も磐船神社の巨石には加藤肥後守の文字と紋が残っています。

ほしだ園地にあるハンバーガーストーンには横に溝がありますが、誰かが運び出そうとして割ろうとしたのかも知れません。

(ほしだ園地のクライミングウォールがあるわんぱく広場は、かつて石切り場で、1979年に園地ができるまでは割った岩がごろごろ残っていました)

 

 ※饒速日命: 物部氏の祖先神で天の磐船に乗って降臨したとされる

 

  交野山の観音岩は古代祭祀の場であったとされ、鎌倉・室町期には付近に仏教寺院があったらしく、今でも観音岩には梵字が残っています。

 

 そんな歴史を思い巨石を眺めると物体の大きさだけでなく、巨石が時を越えて人に与えているモノにまた感動してしまいます。

 

ご注意: 鏡岩や龍岩窟は尾根の狭い路や岩場を通っていく場所にあります。

    行く時は単独で行かず経験者と一緒に行って下さい。また足元は

    しっかりとした登山靴や装備で行くことをお勧めします。
  

                       (2022/12/21 T.T) 

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