2022年夏、ついに生きた宝石と呼ばれている「アカスジキンカメムシ」に出会うことができました。写真1.はくろんど園地のカタクリの森で撮影したもので、鮮やかな緑色の背中に赤い筋が亀の甲羅のように見えます。
生きた宝石とはよく言ったもので、ブローチにすれば売れそうな色形です。
今から10数年前になるでしょうか、むろいけ園地で先輩レンジャーにガイドウォークをしてもらった時です。コブシの木の前で「この木にアカスジキンカメムシが来るんだよなぁ、本当に美しいのよ」との話を聞きました。
その時はカメムシと聞いて余り気にしませんでしたが、後にその姿を知って
からは実物を見たいと思うようになりました。以来、コブシの木を見るといつもこのカメムシを探すのですが、幼虫は何回か見たものの、成虫にはずっと
お目にかかることはできませんでした。(※5齢幼虫については文末を参照)
写真2. アカスジキンカメムシの背中 写真3. カナブンの背中
さて、このアカスジキンカメムシですが、一見すると甲虫のように見えますがカメムシですから甲虫ではありません。写真3.はカナブンですが、甲虫は前翅が背中の中央で左右に分かれて付いており、合せ目が見えています。
また前翅の付け根には逆△の部分があります。この△の部分を小楯板(しょうじゅんばん)と呼びます。
一方、写真2. のアカスジキンカメムシの背中には左右の翅は見えず、全体が亀の甲羅のようになっています。これはアカスジキンカメムシでは、小楯板が大きくなって背中全体を覆うようになっているのです。
では、アカスジキンカメムシの翅はどこにあるのかと言うと、小楯板の下に収納されていて、左右の体側とお尻の先端部にわずかに翅の一部が見えているのでそれと分かります。飛ぶ時は体側から翅が出てきて羽ばたきます。
ところで、生きた宝石と言えばタマムシも美しい昆虫です。ご存知のように、タマムシの翅の色は構造色で死んでも翅の色は変わりません。
では、アカスジキンカメムシの体色は構造色なのでしょうか? それとも色素による色なのでしょうか?
調べてみると、アカスジキンカメムシの色は構造色によるものらしいのですが、死んで乾燥すると構造的な変化が起こり暗い色に変わるようです。残念ながらタマムシの翅のように装飾にはならないようです。
(但し水分を与えると元の色に戻ると言うことです)
キンカムメシの仲間には、鮮やかな色や金属光沢をもつものが多く人の目を引きますが、何れも死ぬとその色や輝きは無くなり色あせてしまうようです。
参考: 5齢幼虫について
5齢の幼虫は、レンジャーの自然観察で2,3回見たことがあります。
写真5.はナツツバキの葉に集まった幼虫です。
体は金属光沢があって白い模様があり、人が口を開けて笑っているように見えます。
この5齢幼虫は越冬して翌年に成虫
になります。
(記:T.T 2022/8/3)
おまけのリンク: 格納式の翅いろいろ
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