ようやく暖かくなってたので、フクジュソウを見に金剛山ちはや園地に行ってきました。目いっぱいにひろげた、つやのある花びらに、早春の陽光があたって光っていました(写真1)。
満開のフクジュソウを楽しんだあと、遊歩道を歩いて山頂(国見城跡)に向かいました。もう雪はとけてなくなっているかなと思っていたのですが、地面は固く凍っていて灰色に見えます。コンクリート舗装かと見まちがうほどでした(写真2)。
少し歩いていると、歩道の山側に、動物の足跡のような穴がいくつも開いてました(写真3)。イノシシにしては大きいし、何かなあ?
さらに歩いていくと、歩道の真ん中あたりが、長さ5~6mにわたって、裂けていました(写真4a)。裂けているところを地面に沿って見てみると(写真4b)、歩道の山側と谷側には15cmほどの段差ができていて、裂け目から霜柱のような氷が見えています。谷側の落ち込んでいない地面は、表面に雪が凍っていて、その下に数cmほど土があります。さらにその下に、長さ10cm位の霜柱が見えます。ええっ!!霜柱が歩道を15cmも持ち上げてるの??
家に帰ってから、調べてみると、凍上(とうじょう)という現象のようです。寒い空気に冷やされて土の水分が凍って、土と氷が混ざった層ができ、地面を持ち上げるらしいです(参考文献1)。このあたりの遊歩道は、傾斜がゆるく、山側は斜面になっていて、斜面の雪が溶けて水になって歩道に流れ、土を凍らせ続けて、土が大きく持ち上がったのでしょうか。この先、山頂への半ばくらいまで、結構長い部分で地面が持ち上げられていました。
土の凍り方は条件によりいろんな形があり、霜柱状になることもあるそうです(文献2)。初登りのイベントの時によくみかける霜柱は踏むとザクザクと砕けますが、ここは様子が違いました。谷側の地面は、人が歩いても、ストックでついてもびくともしません。しかし、このところの暖かさで、地面の下の氷が溶けて、山側の地面がもとの高さに戻ったので、谷側と山側の間で、段差ができてしまったのでしょう。
凍上は、北海道や東北地方では、雪がなくなっても、まだ寒い日が続く春先によくおこる現象だそうです(雪が多く積もっている間は、地面に寒い空気が当たらないので、凍上は起こらないそうです)。金剛山で凍上が珍しいのかどうかはよくわかりませんが、ちはや園地の職員さんによると、「今年は、雪が多いわけではないが、2月から最低気温が氷点下の日が続いていた」とのことで、凍上が起こる条件がそろっていたのかもしれません。
満開のフクジュソウに加えて、凍上でも春の訪れを感じることができ、楽しい金剛山になりました。
<ます,KS 2022/03/11>
【参考文献】
(1)凍上
https://ja.wikipedia.org/wiki/凍上
掲載されている写真にも霜柱が写っていて、写真4bと似ていますね。
(2)武田一夫、完全凍上の実験的研究について、日本雪氷学会誌 50巻2号(1988年6月)87-92頁
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seppyo1941/50/2/50_2_87/_pdf
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