暑さがやわらぎ、山歩きが楽しい季節になりました。先日、久しぶりに、むろいけ園地を訪れてきました。谷筋の道では、イヌタデ、ミズヒキ、ミゾソバなどの赤や白の小さな花が秋の訪れを感じさせてくれます。園地の湿生花園に着くと、サクラタデ(桜蓼)が咲き始めてました(写真1、各花の縮尺は正確ではなく、少し異なっています)。
サクラタデはタデにしては大きな、といっても5mm程度ですが、桜色の美しい花を咲かせます。花の真ん中の黄緑色のところから蜜を出して、ハナアブやハナバチ、アリなど多くの虫を集めます。スマートなヒラタアブ(ホソヒラタアブ)がやってきました(写真2)。ホバリングをしながら花を選んで、止まりました。
拡大して見ると、口(口吻:こうふん)を伸ばして蜜を食べていて(写真3左)、目の周りにわずかに花粉が付いてます。マルハナバチ(トラマルハナバチ)もやってきました。こちらは、飛行技術が優れていて、下から花をつかみ、長い口で蜜を吸ってます(写真3右)。おかげて、足やお腹に花粉がついてます。どうも、マルハナバチの方がサクラタデの受粉に役立ってそうです。
ところで、サクラタデの花には、めしべが短くおしべが長い型(写真4左:短花柱型)と、めしべが長くおしべが短い型(写真4右:長花柱型)があって、双方の花の型にわたって花粉のやり取りがなければ実ができにくい性質(異形花型自家不和合性)をもっています。マルハナバチにもヒラタアブにも、もうひと働きしてもらわないと受粉ができませんね。
もうひとつ、サクラタデの花の不思議をお教えしましょう。実は、サクラタデの花のように見えていたのはガク(萼)で、花びらはありません(写真4)。イヌタデ、ミズヒキ、ミゾソバとサクラタデはすべて、イヌタデの仲間(イヌタデ属)です(写真1)。花びらのように見えるのは、みんなガクなんです。イヌタデの仲間が、谷筋の道で、それぞれに姿・形を進化させ、同じ季節に花を咲かせているのはちょっと興味深いです。
最後にもうひとつ、「タデ(蓼)食う虫も好き好き」ということわざを聞いたことがあると思います。このタデは、サクラタデに似たヤナギタデ(写真5)のことです。ヤナギタデの葉っぱには辛みがあり、「まずい葉っぱでも食べる虫がいる」→「人の好みはぞれぞれ」ということを意味するたとえに用いられています。このヤナギタデの若芽は刺身のつまとしてよく使われます(写真5左下)。そういえば、赤い小さな葉っぱ、は少し辛みがあったような気がします。
<ます 2021/10/1>
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