アカメガシワは、日当たりのよい林縁や土手などでよく見ますが、時には
街中の道路端でも見かけることがあります。
アカメガシワは、春に赤い新芽を出して夏になるとカシワのような大きな葉になるのでこの名がついたと言われています。
春先に出るアカメガシワの新葉は写真3. のような鮮やかな紅色をしています。よく見ると葉全体が赤い毛に覆われているようです。
写真3, 4は葉の表面に近づいて撮影したもので、写真を拡大すると赤い密毛がはっきり見えました。
写真3. 新葉の赤い密毛 写真4. 密毛拡大
赤い毛は一体どんなものなのでしょうか? 赤い新葉の表面にテープを貼って毛を剥がし取って見ました。すると写真5.のような星が光ったように見える放射状の毛(星状毛)が引っ付いてきます。毛を剥がした後の葉は写真6.のように緑色でした。
なぜアカメガシワの新芽は赤い毛で覆われているのでしょうか?
春先の新芽は柔らかく弱いので、霜など寒さでダメージを受けないように毛が守っているとか、赤い毛にはアントシアニン(アントシアニンは自然の赤い色素で抗酸化作用を持っている)が含まれていて、新葉を太陽の紫外線から守っていると言われています。そして新葉は成長するにつれ赤い毛を落とし緑色になって行きます。
写真5. 剥がし取った赤い毛 写真6. 毛を剥がした後の葉
アカメガシワの新葉を使った遊びで、面白いのは葉の擦り出しです。赤い葉を紙に挟んで上から指の爪の背で擦ると写真7.のような葉の形が綺麗に写し取られます。これは、赤い毛に含まれるアントシアニンが上からの力で押されて滲み出て紙に移ったことによるものです。
アカメガシワには雄木と雌木があります。
写真8.は雄花、写真9. は雌花でどちらも花弁はありません。
写真8. 雄花 写真9. 雌花
アカメガシワの雄花には、甘い香りに誘われてクマバチやミツバチ、ハナムグリなど色々な昆虫が蜜や花粉を求めてやって来ます。しかし雌花にはほとんど虫は来ていません。蜜も出していないようです。ネットを調べても雄花には色々な虫が来た写真がありますが、雌花に来た昆虫は余り載っていません。
さて、アカメガシワはどのような受粉戦略を持っているのでしょうか?
雄花には色々な昆虫か来るので、その昆虫がたまたま間違えて雌花に止まって受粉する可能性はあります。でも、それでは受粉効率が悪そうです。秋には雌木に黒い種子がたくさん付いているのを見ますので、何か隠された受粉戦略がありそうです。
色々調べて見ると、最近アカメガシワには風媒による受粉もあることが分かってきたとのことで、アカメガシワは虫媒と風媒によって受粉をしていることが分かりました。そう言われてみればアカメガシワのある所には雄木と雌木が近接して生えていてることが多く風媒と言うのも納得できます。
クリも風媒と虫媒により受粉をする木で、これらを「風虫両媒花」と言うそうです。(2020/6/24 T.T)
参考までに、写真10. はアカメガシワの実、写真11.は種子
写真10. 果実 写真11. 種子