大きな目・黄色い背中・黒いモフモフのずんぐりむっくりの体、写真1はクマバチ(キムネクマバチ)がメスを探すために空中でホバリング(静止飛行)している姿を正面から撮ったものです。ちょっとカワイイくないですか?
さて、公園の桜並木が新緑に替わる頃、満開の藤棚には蜜を目当てにたくさんのクマバチが集まってきます(写真2)。フジの花(注1)には5枚の花びら(花弁)があって、昆虫に花の場所を知らせる旗弁、めしべとおしべを包んで保護する左右2枚の竜骨弁、竜骨弁の左右に張り出して花を訪れる昆虫に足場を提供する左右2枚の翼弁から構成されています(写真3)。
クマバチが翼弁に足をかけて頭を蜜標の下のあたりに突っ込むと、クマバチの重さで翼弁と竜骨弁が下がって、竜骨弁に隠れていためしべとおしべが出てきます。クマバチが蜜を吸っている間に、お腹におしべの花粉がしっかりつくようになっています。そして、蜜を吸い終わって飛び立つと、めしべとおしべは再び竜骨弁に隠れます。簡易動画(写真4)はその様子を撮ったものです。お腹についた花粉は別の花で蜜を吸うときにめしべに付着して、フジの花に受粉が行われるという作戦です。フジは体の大きなクマバチに合わせて、めしべとおしべが見え隠れするように作られていますが、ミツバチにも人気があるようです。お腹にもおしべのやく(葯)がしっかりあたってますね(写真5)。
ところで、 一昨年、枚方市の山田池公園で外来種のタイワンタケクマバチを見ました(写真7)。寄生ダニや食物の競合が在来種のクマバチに影響を与えるらしいです。枯れた竹に巣を作るので、竹やぶの多いくろんど園地周辺にもやってくるかもしれません。今年も、いつものようにクマバチがホバリングで出迎えて欲しいものです。
クマバチは、スズメバチのような危険生物ではなく(注2)、集団で行動しないので家に大きな巣を作ることもありません。一方でミツバチのようにハチミツが食べ物になるわけでもなく、大きな羽音からくる怖いというイメージ以外は、人とのかかわりで語られることがあまりないようです。でも、モフモフのずんぐりむっくりの体で、フジの送粉作戦とも知らずに、花から花へと移ったり、ホバリングしてメスを待ったりする姿はなかなか愛らしいですね。このように近くの公園で身近に見られるいきものが、自然への関心の足掛かりになってくれればいいなあと思います。
(ます 2020/04/24)
注1)フジと同じマメ科のハギやクズなども同じような花びらの構造:蝶形花冠(ちょうけいかかん)を持っていて、同じような送粉作戦を用いてます(写真6)。
注2)クマバチのオスは針を持っていませんが、メスには毒針があり、巣に近づいたり、脅かしたりすると刺すことがあります。観察にはご注意下さい。
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