くろんど園地には、岩場を流れる小川に丸い穴が開いているのが見られます。水舞台から下の小川には30~40cmの穴が12個連続している所もあります。穴を触ってみると壁面は綺麗に磨かれていて、深さは穴の径と同じくらいです。この穴は甕穴(かめあな)とか甌穴(おうけつ)と呼ばれていますが、「甕」と「甌」は同じ意味で、水や酒を入れる陶製の容器のことです。
一般的には甌穴と呼ぶことが多いので、ここでは甌穴と表現します。
(英語ではポットホールと呼ばれています)
さて、この甌穴はどのようにしてできるのでしょうか?
岩は花崗岩で水には溶けません。水が岩に当たるだけでは穴はできません。
花崗岩は年月とともに風化して小石や砂になりますが、雨が降るとそれが水に流されて下流に運ばれます。このとき岩場に窪みや割れ目があると、水流に混じった砂粒が岩の窪みや壁面に当たって少しずつ岩を削っていきます。
ガラスの表面に模様を入れるのに研磨材(小さな砂粒や金属粉)を風でガラスに吹き付けて表面を削ると言う技法が使われます。甌穴もこれと同じ理屈で、水流に砂粒が含まれていると、窪みがあるような場所では渦流ができて、砂粒が岩の壁面に当たり、少しずつ削り取って丸い穴にするというわけです。
では、甌穴はどのくらいの時間をかけてできるのでしょうか?
穴が削られる速さは、岩盤の硬さや水流の強さ、砂粒の大きさや量、雨の頻度などによって変わりますが、砂が流れて来るのは雨で水量が多くなった時に限られるので、岩が削られるのは非常にゆっくりしていると思われます。
写真1.の甌穴は直径が30cm(半径15cm)くらいです。単純計算ですが、
穴が毎年0.1mmずつ削られるとすると、150mm÷0.1mm/年=1500年と
なって、おおよそ千年単位の時間をかけて今のサイズになったと思われます。
日本各地には多くの甌穴があり、直径1mを超すものもあるそうですが、
何千年、何万年もかかってできたとされるものもあるようです。
くろんど園地には大小様々な形の甌穴があります。その景観は小滝のような趣があり、穴に水が流れ込む時に出る音が何とも心地よく聞こえてきます。
写真2. ~11. の色々な形の甌穴をご覧ください。
写真12. は小さな甌穴が連続したもので、まるで箱庭にあるような甌穴です。
写真を拡大して見て下さい。
甌穴ではありませんが、くろんど園地には砂や小石が水に流されて岩を削ってできたと思われる床滑(とこなめ)状の岩や、樋(とい)状に削られた岩もたくさんあります。
甌穴は自然の時を刻む芸術品のようです。
どこかの園地に行ったら水の流れにある甌穴を探してみて下さい。
(2020/4/18 T.T)
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