写真1. ウバユリの花 写真2. ウバユリ群生
ウバユリはちょっと可哀そうな名前の野草です。名の由来は花が咲く時、 葉(歯)が枯れてなくなるので「姥(うば)」に見立てられたと言うのですが、実際には花時にも葉は残っています。
ウバユリは7月末の暑い盛りに写真1.のような花を咲かせます。ユリの仲間ですが、葉は普通のユリとは違う細長いハート形の大葉で、花は普通のユリのように大きくは開かず、先の方だけが開きます。花期は短く、咲いているのは1週間ほどです。
くろんど園地のウバユリ(拡大してご覧ください)
写真3. 3/末~4/上旬 写真4. 4/中旬 写真5. 6/上旬
ウバユリは半日蔭の場所を好むようですが、3月に暖かくなると写真3のような葉を出して、4月には写真4のような大葉を展開します。一見ギシギシの葉によく似ているので、良く見ないと間違えてしまいそうです。
6月上旬になると写真5のような花茎を伸ばし始め、7月中旬頃に写真6のように一本の花茎に横に向いた複数のつぼみをつけます。
ウバユリの果実
写真7. ウバユリの花後 写真8. ウバユリの果実
ウバユリは花が咲くと実をつけ秋には写真8のような果実を残して親は枯死します。
ウバユリの生き残り戦略
ウバユリは2つの生き残り戦略を持っています。一つは鱗茎で増える。もう一つは種子から増えます。
写真9.は2年生(推測)と思われるウバユリの幼葉ですが、種子から芽生えて花を咲かせるまでにはカタクリやササユリと同様に7,8年かかると言われています。
食害に耐えるウバユリ
写真10. 毛虫に葉を食われたウバユリ 写真11. イノシシにやられたウバユリ
ウバユリは、花が咲くまでに色々な外敵にも耐えなければいけません。
昨年は、くろんど園地のウバユリも大量発生した毛虫に葉を食い尽くされました。その後花が咲いてからもイノシシに掘り返され相当数が食べられてしまいました。
幸いなことに今年もたくさんの芽生えが見られます。写真3~4はウバユリの群生です。食害されても生き残るたくましさを感じます。今年の夏に又たくさんの花が咲くのを楽しみに待ちたいと思います。 (2020/4/14T.T)