アリはミツバチと同様に社会性昆虫と言われています。彼らは集団を作り女王や働きアリ(ハチ)のような階層を作って人間の社会に似た構造をしていますが、彼らの社会は女王を頂点にした家族集団で、内容的には人間の社会とは異なっています。さて働きアリは餌を探したり、巣を掃除したり、子どもの世話をしたりするのが仕事ですが、その2割のアリたちは働かずにサボっていると言う話があります。さて、それは本当なのでしょうか。
人の社会では、わざとサボっていると言う例はありますが、アリの世界にも人と同じ様にサボる者がいるのでしょうか? しかしアリには人のような意識や自我は無い筈ですから、これには何か自然が持つ意味があるように思えます。
ある生物学者によると、アリやミツバチには活動をしなければけないと感じるレベルに個体差があると言うことです。同じ働きアリでも、すぐに餌を探しに行かなければと思うものもいれば、まだ行かなくても良いと思うものもいるのだそうです。結果としてサボっているように見えるアリたちがいることになると言うのです。
さて、この一見サボっているように見えるアリがいることはアリ社会にとってどんな意味があるでしょうか。そこで全てのアリが働き者で、外に出かけててしまった時のことを考えて見ましょう。突然アリの巣が敵に襲われたり、自然に巣が壊れるということはあり得ます。巣には女王や幼虫、卵が残されていますので、この時に巣に誰も残っていなければ、女王や子を守ることはできません。巣に残ったものがいれば、仲間を守るために敵と戦うことができますし、巣を修理することもできます。
一見サボっているように見えるアリですが、こうしたアリたちは、アリの社会にとって突然の予測せぬ事態に備えての組織的な余裕や備えであり、有事に備えての自衛隊のようなものだと言えると思います。自然に備わった働きとは言え、大変良くできた仕組みだと思います。昆虫たちが何億年も生きてきたすごさを感じずにはいられません。人の社会もこのことから学ぶことがあるように思います。(た2013.Sep)
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