シジュウカラ(四十雀)の名前を聞いた人はそこそこいると思いますが、ゴジュウカラ(五十雀)の名前を聞いたことがある人は少ないと思います。ゴジュウカラは、ブルーグレーの背中に白い胸、目を通る黒い筋が黒いくちばしまで続いて、中々シャープな印象のスズメより少し小さな鳥です。(写真1)
ゴジュウカラは本州では1000m位のブナ帯から亜高山帯に棲んでいて、大阪近郊では金剛山や大和葛城山などでしか見ることができません。ゴジュウカラの一番の特徴は、頭を下にして木の幹を下りてくることです。長い指と長い爪でしっかりと幹をつかんで下向き・上向き・幹周りと自由自在に動きます。
(写真1の赤丸部分に足をアップにしました。右が胴体、下が頭の方向です)
日本ではこのような動きができる鳥は他にいません。百聞は一見に如かず、写真2のアニメーションをご覧ください。
金剛山のブナ林には色々な鳥が棲んでいますが、大まかに林内では餌を採る領域がすみ分けられています。灰色の背中に白いほっぺに茶色い胸のヤマガラと、抹茶色の背中に白いほっぺと黒いネクタイのシジュウカラは主に林内の中・下部、灰色の背中に白いほっぺと白い胸のコガラは幹よりの内部、ゴジュウカラとコゲラは幹周りと言うような具合です。(図1参照)
ゴジュウカラが木の幹を下るようになった理由はゴジュウカラに聞いてみないと分かりませんが、①上向きでも餌を採っていたり(写真3)、②下向きの時に頭をぐっと持ち上げて周りを品定め(写真1)してから素早く近くの幹に飛び移ったり、③キツツキ類のコゲラが近くの幹で餌を探して競合状態になっていたり(キツツキは下向きには下りません)のような場面を観察しますので、最初は上向きに上るだけだったのが、速く効率よく餌を採るために下向きに下りるようになったのではないかと勝手に想像しています。
最後に、「むずかしや どれが四十雀 五十雀」という小林一茶の句がありますが、もうみなさんは、シジュウカラとゴジュウカラの違いは分かりますよね。金剛山のブナ林でゴジュウカラを観察して、なぜ下向きに歩くようになったのだろう? と思いをめぐらせてみてはどうでしょうか。(2018/1/29ます)
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