写真1 エゴノキ 写真2 実を割るヤマガラ
ちょうど今頃、10月のくろんど園地を歩いていると、木の上からコツコツという音が聞こえることがあります。ヤマガラが大好物のエゴノキの実を割る音です。エゴノキは、高さが3mから10m位の落葉樹で、5月頃に白い清楚な花を咲かせ(写真1)、10月頃に長さ2cm位の楕円形の実をつけます。実の殻にはサポニンという毒成分があり、口に含むと”えぐい”ことから命名されています。くろんど園地の散策路沿いや広場など陽があたるところに生えています。
コツコツという音を頼りに、ヤマガラを見つけて観察してみると、くちばしを器用に使って実を取り、枝が水平な所や二股の分かれ目の付け根に持ってきて、2本の足でしっかり挟みこんで、くちばしで殻を割って(写真2)、毒のない中身だけを食べています。ヤマガラをよく見てみると、くちばしは、先が”のみ”のようになっていて、足も体の割には太く、固い実の殻を割るのに適した体を持っていることがわかります(写真3、4)。
写真 3 ヤマガラの嘴 写真 4 ヤマガラの足
別のヤマガラに目を向けると、くちばしを使って、割れ目の入った実から中身だけを取り出して、森の中へ飛んでいきました(写真5)。割った実をすべてその場で食べるのではなく、エサが少なくなる冬場に備えて、地面や木の根っこなどに隠しておく、”貯食行動”のようです。この隠された実は、全てが食べられるのではなく、いくらかはそのまま残り、エゴノキにとって、都合よく実(種)をばらまいてくれることになるのです。ある研究によると、殻を取り除かれた実は、殻のついたままの実よりも、発芽率が何倍も良く、エゴノキにとって、殻を取り除いた実をばらまいてくれるヤマガラの貢献は大きいそうです。
ヤマガラは、比較的人を怖がりませんので、見つけた後にいなくっても、10m位離れてしばらくじっとしていると、また戻ってきて、エゴノキの実を割るヤマガラを双眼鏡でじっくり観察することができます。また、エゴノキの実が少なくなってくると、ヤマガラは落ちた実を食べに地面に降りてくるので、観察もしやすくなります。くろんど園地に来られたら、ぜひ、エゴノキを見つけて、ヤマガラの愛らしい仕草と自然の不思議を観察してみてください。(2017/10/3 ます)
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