No.144 マツモムシ(Backswimmer)

 くろんど園地の水場で水面にひっくり返って浮かんでいる1cmくらいの大きさの昆虫を見かけます(写真1)。マツモムシです。水面を背泳ぎしているようで、英名もそのままbackswimmerです。今回は、水生に特化して独特な(個性的な)生活をしているマツモムシを紹介します。

水面に浮かんでいるマツモムシ
写真1 水面に浮かんでいるマツモムシ

 カメムシ目マツモムシ科の昆虫で、身体に比べて大きく長い後脚(うしろあし)をオールのように使って水中をうまく泳ぎます。前脚、中脚は短く獲物を捕らえるために使用しています。小魚やオタマジャクシを捕まえて、鋭い口吻(こうふん)を突き刺し、消化液を送り込み、溶かしてから吸汁します。マツモムシを安易に手づかみすると刺されて痛いので注意してくださいネ。

 普段はお尻の先を水面に出して呼吸しているので、頭が下に沈んだ態勢で水面にいることが多いです(写真1)。水生昆虫ですが、飛ぶこともでき、夜は光に集まってくることがあるようです。飛ぶときは普通に背中を上にして飛ぶようです。ひっくり返るのが好きなわけではないのですね(笑)。

集団でいるマツモムシ
写真2 集団でいるマツモムシ

 マツモムシの天敵は同じ水生昆虫のゲンゴロウです。私の子供の頃はゲンゴロウもよく見たのですが、くろんど園地ではまだ見たことがありません。その代わりにマツモムシはよく見るので、天敵がいないため、マツモムシの数が増えているのでしょうか(写真2)。環境的にはいろんな生物がバランスよく生息しているのが理想と思います。ある生き物が絶滅すると他の生き物への影響が大きいので、今のくろんど園地の環境をこれ以上悪化させずに生物多様性を維持していきたいですね。

アメンボと一緒にいるマツモムシ
写真3 アメンボと一緒にいるマツモムシ

 マツモムシは日本各地で見られ、成虫で越冬するので、くろんど園地でも3月頃から見かけるようになり、10月頃までと長い間見ることができます。くろんど園地ではアメンボと一緒にいることが多い(写真3)ので、水面の上にいるアメンボと水面下のマツモムシがぶつかって、アメンボが驚いて飛び上がるところをみることができます。見ていて飽きないですね。水生昆虫(マツモムシだけではなく、トンボやホタルなども)が生きていくためにはきれいな水場が必要です。最近はくろんど園地の水場でも油が浮いているところを見かけます。みんなでくろんど園地の水場を汚さないように注意しましょう!

(2025/2/7 大西)

交尾中のマツモムシ
写真4 交尾中のマツモムシ

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