キンモクセイは、その甘い匂いで秋を感じさせてくれて、また、いろいろな所で目にすることができるなじみのある樹木です。漢字で書くと「金木犀」と書き、樹皮が動物の犀(サイ)の足に似ていることから付いたとのことです。日本の三大芳香木の一つです。ちなみに、残りの二つは、春のジンチョウゲと夏のクチナシと言われています。
調べてみると、謎の多い樹木でした。雌雄異株(雄しべの花の木と雌しべの花の木が別々)の植物で、さらに、日本には雄株しかありません。この理由は諸説ありますが、中国が原産で、江戸時代に雄株だけが渡来して、以降差し木で増えた、という説、ウスギキンモクセイの変種がキンモクセイでは、という説があります。ウスギキンモクセイはモクセイ科の樹木で、日本の九州南部に自生しています。キンモクセイと比べると、花の色は薄く、匂いも強くないようです。
キンモクセイの由来は、DNA鑑定すれば、はっきりするのではと思うのですが、謎のままの方が、想像が膨らんで良いのかもしれません。
雌雄異株について、もう少し述べます。
植物は、雄しべの花粉が雌しべに受粉されて種子ができますが、大きく分けると、雄しべと雌しべが一つの花にあるもの、同じ株に雄花(雄しべだけの花)と雌花(雌しべだけの花)があるもの、雄株(雄花だけの株)と雌株(雌花だけの株)があるもの、の三種類があります。
次に、同じ花で受粉を行う事を自家受粉、そうでないものを他家受粉といいます。雌雄異花と雌雄異株は、他家受粉になります。他家受粉は、受粉に手間がかかりますが、花粉が他の花の雌しべに受粉されることで、植物の遺伝的多様性を高めることができます。
植物も、代々の存続を実現するため、色々なメカニズムがあるようです。
(M.S 2024.11.07)
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