No.137 ツマグロオオヨコバイ

  くろんど園地の道沿いで、葉上や葉の裏に大きさ1cmくらいで黄緑色のバナナのような虫が止まっているのを見かけます。ツマグロオオヨコバイです。皆さんもどこかで見られたことがあると思います。葉上にいても、近づくと横歩きをしてすぐに葉の裏に隠れてしまいます。すごくシャイな虫ですね(笑)。

 今回は、よく見かける割には知名度の低いツマグロオオヨコバイを紹介します。

葉上のツマグロオオヨコバイ
写真1 葉上のツマグロオオヨコバイ
アジサイの葉裏にいるツマグロオオヨコバイの集団
写真2 アジサイの葉裏にいるツマグロオオヨコバイの集団

 カメムシ目オオヨコバイ科の昆虫で、翅(はね)の先が黒く(ツマグロ)、頭部の背中側に黒い斑点があることが特徴です(写真1)。ヨコバイ(英語名:Leafhopper)の仲間は小さいものが多いのですが、大きさ1cmは大型の部類で、ついた名前がツマグロオオヨコバイになります。ツマグロオオヨコバイはカメムシ(セミ)と同様に口吻(こうふん)というストロー状の口で植物の汁を吸っています。

 数が多い時期は集団になっているところをよく見かけます(写真2)。また、夏ははよく飛んで逃げるで、葉裏に隠れるだけではないことがわかります。

脱皮直後のツマグロオオヨコバイ
写真3 脱皮直後のツマグロオオヨコバイ

 写真3は初めて見ましたが、ツマグロオオヨコバイの幼虫と思います1)。透明感のある白色なので脱皮したてではないかと思います。時間がたつと体色は黄緑色に変化します。

抜殻とツマグロオオヨコバイ
写真4 抜殻とツマグロオオヨコバイ

 写真4は抜殻と一緒に撮ったものです。ツマグロオオヨコバイは不完全変態の昆虫なので、脱皮を繰り返して親になり、幼虫も親と同じように口吻で植物の汁を吸っています。

 

 ツマグロオオヨコバイは北海道を除く日本各地で見られ、くろんど園地では8月頃からよく見かけるようになります。成虫で冬越しするので10月頃まで見ることができます。作物の害虫というレッテルを貼られていますが、ツマグロオオヨコバイの鮮やかな体色と変わった歩き方を観察して、園地の中では愛してあげてください。ちなみに死んでしまうと身体の色が変わり、橙色2)になってしまいます。

 

1) ピントが甘く、不鮮明で、葉ではなく幹にいたので、断言を避けました

2) 昆虫図鑑に載っているツマグロオオヨコバイの写真(標本)は死んだときの色になっていることが多いので機会があれば確認してみてください

(2024/10/4 大西)

葉裏のツマグロオオヨコバイ
写真5 葉裏のツマグロオオヨコバイ

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