(No.39にも、ヒヨドリバナについての解説があるので参照ください)
秋になると、園地内に、ヒヨドリバナの白い花が目立つようになります。
ヒヨドリバナはキク科の多年草で、ヒヨドリが鳴く頃に開花することから、この名になったようです。花は、筒状花からなり、めしべが飛び出しています。
ヒヨドリバナのようなキク科の植物には、ピロリジジンアルカロイド類という有機化合物が含まれます。昆虫は、花の蜜を吸って、ピロリジジンアルカロイド類を体内に取り込み蓄積します。この物質は、鳥などの捕食者にとっては毒になる物質ですので、天敵から身を守ることができます。また、昆虫は、この物質から性フェロモンを作ります。
「渡り」をすると言われる蝶のアサギマダラも、ヒヨドリバナやフジバカマを好物としています。「渡り」とは、秋になると特定の場所に寄りつつ、栄養補給をしながら、数千キロをかけて南方へ移動することです。
アサギマダラは、気流に乗ると言われていますが、方角とか、好物の植物の場所とか、どのように探しているのか、よく分かっていません。
アサギマダラは、ヒヨドリバナが好物だという話をしてきましたが、一般に、蝶の成虫が花の蜜を選ぶとき、花色と花香で決めていて、蝶の種類で好みの花香が異なるそうです。つまり、蝶は狭食性が強く、その種(仲間)ごとに特定の植物にしか近寄りません。このことが、多くの種がぶつからずに生息できる「棲み分け」にもつながっていると考えられます。
先日、くろんど園地で、1頭だけですが、ヒヨドリバナの周りを回っているアサギマダラを見ました。毎年、このような光景が見られるような環境であって欲しいと強く感じました。
(M.S 2024.09.30)
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