「スプリング・エフェメラル」という言葉を、ご存じでしょうか。エフェメラルという言葉はあまり聞きなれない単語ですが、調べてみると「はかないもの」という意味です。
「春のはかないもの」となり、春先に短期間に花が咲く、林床植物のたとえとして、使われています。または「春の妖精」とも言い換えられ、初春の山歩きのなかでは、人気のある植物の一つに挙げられます。
この言葉、もともと学術的な意味は特にないようです。この植物にしてみると、初春に、山が緑で一杯になるまえに、光が林床に届くうちに、花と葉を増やして、光合成により栄養を貯えておこうということのようです。
この春に見ることができて、カメラで残した「スプリング・エフェメラル」を2点紹介します。
まずは、カタクリの花です。ユリ科カタクリ属に属する多年草です。片栗粉という調理用の粉は、もともとカタクリの地下茎から作られていました。(今はジャガイモからです)
カタクリは、アリによって種子散布される植物です。実からはじけ出た種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が付いており、アリに拾われて巣に運ばれます。エライオソームは残され、種子本体は、巣の外へ捨てられ生育地を広げています。種子は発芽して7~8年後に、はじめて開花します。
もう一点は、ショウジョウバカマの花です。ショウジョウバカマは、メランチウム科ショウジョウバカマ属の多年草です。花の色は、淡紅色、紫色、白色と変化に富んでいます。漢字では「猩々袴」と書きますが、猩々は赤い顔をしている架空の動物で、花を猩々の顔に、葉をはかまに見立てて、名づけられたようです。
一か月も満たないうちに、「スプリング・エフェメラル」は見られなくなります。来年は、より沢山の「スプリング・エフェメラル」に出会えることを期待しています。
(M.S 2024/5/25)
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