No.126 シュンランの話

 3月の初めに、園地で「シュンラン」の新芽が出ているところを見て、気になっていました。4月になり、花が咲いていましたので、「シュンラン」のことを少し調べてみました。

 「シュンラン」は単子葉植物ラン科シュンラン属の蘭で、土壌中に根を広げる地生蘭です。名称の由来は春に咲くことから「春蘭」というようです。

 

 本題と違うのですが、3月1日に、植物の新属・新種が見つかったという新聞記事をみました。「ムジナノショクダイ」という属名になったようです。近い属に「タヌキノショウダイ」があるそうですが、ゲノムDNAを用いた系統解析によると、明確に異なる属とされ、新属になりました。(生物は、「種」という単位で区別されますが、この「種」をさらに、上のグループでまとめたものが「属」といわれます。その上位が「科」であり、さらに、上位でまとめられていきます)この「ムジナノショクダイ」は、菌従属栄養植物に分類されるのですが、今回の「シュンラン」は、部分的菌従属栄養植物に分類されています。

 

 通常の植物は、光合成で栄養(炭素)を得て、地下で、根や茎で菌類と共生して、炭素を菌類に与えています。これを、独立栄養植物と言います。しかし、菌従属栄養植物は、光合成を行わず、地下の菌類から、栄養(炭素)を得る植物のことです。これとは別に、光合成と菌類の両方から栄養(炭素)を得る植物があり、これを部分的菌従属栄養植物と言います。

 

 「シュンラン」はこの部分的菌従属栄養植物に該当します。青い葉により光合成を行いますが、土中の菌類から栄養を得ることもします。個体によっては、60%程度の炭素を、共生する菌から得ているとのことです。光合成にのみに頼るわけではないので、それほど光を求めて目立つような存在ではありませんし、栄養を貯える機能も普通と違うためか、形状、色見も、少し異なって見えます。

 

 菌従属栄養植物は、土中に居ることが多く、開花と結実の時しか、地上に出ないので、人の目に触れることが少ないです。なので、新種を見つけるチャンスがあるかもしれません。

 

参考資料:「ムジナノショクダイ」はこちら

     「菌従属栄養植物」はこちら

                                                              (MS 2024/4/16)

3月9日シュンラン
3月9日シュンラン
3月9日シュンランの実
3月9日シュンランの実

4月13日シュンラン
4月13日シュンラン
4月13日シュンラン
4月13日シュンラン

くろんど園地

ほしだ園地

むろいけ園地

中部園地

ちはや園地