春、くろんど園地を散策していると日当たりのよい道で日向ぼっこしている瑠璃色の帯が入ったきれいなチョウを見かけます。ルリタテハです。約6cmくらいの中型のチョウで、その配色がそのまま名前になっています。
チョウ目タテハチョウ科のチョウで、黒っぽい羽に瑠璃色の帯があり、他に似たようなチョウが日本にはいないので、簡単に見分けることができます。春は体温を上げるために(昆虫は変温動物です)羽を広げていることが多く、見つけやすいと思います(写真1)。
ルリタテハは花の蜜ではなく、樹液や糞などを好むようです。私は湿った地面で吸水しているところを見たことがあります(写真2)。
ルリタテハの羽の裏側は黒褐色なので樹皮などの保護色になっており、樹上で動かないでいると見つけることが困難です(写真3)。また、羽の裏をみただけでは、知らないと同じルリタテハだとわからないですネ。チョウ類の同定はいつもこれで悩まされます。
ルリタテハの幼虫はサルトリイバラ、ホトトギスやユリなどを食草とするようです(写真4)。見た目は棘だらけの毛虫のようですが、棘に毒はなく、これも毒をもった毛虫に化けて、捕食されないようにしている擬態の一種かもしれません。
ルリタテハは環境省自然環境計画課が選定した指標昆虫20種*の一つとして取り上げられています。いわゆる普通種ですが、くろんど園地でルリタテハが見られるということはユリ科植物が生育する広葉樹林の自然環境がよく保たれているということの証明になっています。
ルリタテハは全国に分布し、都会の公園などでも見ることができるようです。成虫で冬を越すために暖かい日になると早春から飛んでいる姿を見ることができます。
オスは縄張り意識が強く、逃げてもまた元の場所に戻ってくるので観察が容易なチョウです。ルリタテハは卵から成虫になるまでの期間が短いため、成虫は、暖地では年に3回発生します。くろんど園地では4月頃から10月頃までと長い間見ることができます。皆さんも園内で見つけて、その優雅な姿を堪能し、名前も覚えてくださいね。また、ルリタテハたちがいつまでも生存できるように、くろんど園地の自然環境をみんなで守っていきましょう。
うんちく:
タテハチョウの仲間は前脚が退化していて、写真3でみても4本足しかないように見えます。小さい前脚があるのですが、体にぴったりくっつけているので見えにくく、もちろん歩いたり、物につかまったりすることはできません。遠い将来、さらに進化すると本当の4本脚チョウになるのでしょうか。興味が尽きません。(2024/2/9 大西)
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