秋といえば紅葉で、皆さんも各所で、秋を堪能されたと思います。
紅葉の代表のひとつはモミジですが、モミジはムクロジ科カエデ属であり一般にはイロハモミジのことを指します。今回は、なぜ葉が紅葉するのかと、種子の風散布について、書いてみます。
・なぜ紅葉するのか
葉には、光合成に重要なクロロフィルという、緑色をつかさどる色素が含まれています。モミジでは、秋になって寒くなり、日照時間が短くなると、クロロフィルが分解されます。クロロフィルが分解された葉に光が入ると、葉へのダメージが大きくなるので、アントシアニンという色素を合成することで、ダメージを回避しています。そして、このアントシアニンは、赤色、青色、紫色の色素ですので、そのため、赤く色づいて見えているわけです。
また、きれいに紅葉する5要素として、昼夜の気温差、十分な日照、斜面、適度な水分、きれいな空気が、挙げられるようです。
紅葉するのは、モミジだけではなく、ドウダンツツジ、ハナミズキ等あり、また黄葉するものとしても、イチョウ、カツラ、コナラ等があり、この色彩の競演は、秋の山歩きの楽しみのひとつではないでしょうか。
・種子は風散布される。
モミジの種は、「翼果(よくか)」とよばれる2枚の翼をもつ果実の中にあります。秋が深まると、風により散布されます。翼は1枚ずつに分かれ、回転しながら、風に乗って散布されていきます。
この回転する翼の上方に前縁渦とよばれる渦が発生し、強い揚力が発生されるようです。この翼形状と前縁渦の関係を数値計算したレポートもありますし、翼果を教材として、小中学生を対象として科学を学ぶことのきっかけとする、自然事象を考える授業もあるようです。(紙やバドミントンのシャトルを、加工して、翼果のダミーを作成します)
モミジのことを思うと、古くは万葉集にも登場し、今や、初夏には青モミジ、秋には紅葉と、見どころの牽引役を担い、なおかつ、学究の場でも語れるということで、幅広い活躍をしているように見えます。
(MS 2023/12/10)
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