No.103 オオオバボタル

(写真1)見つけた昆虫      
(写真1)見つけた昆虫      

 先日、金剛山ちはや園地でオバボタルらしき成虫を見つけました。(写真1)急いで撮影して観察していましたが、しばらくして手のひらから高く飛んでいきました。
 オバボタルは昼間活動する陸生ホタルで、これまで幼虫(写真2)は見つけたことがありましたが、成虫ははっきりと確認できていませんでした。

(写真2)以前見つけたオバボタルの幼虫    
(写真2)以前見つけたオバボタルの幼虫    

 撮影した写真を確認して調べてみると、どうもオバボタルというよりはオオオバボタルのようにも見えます。
 そこで、いつもお世話になっている陸生ホタル生態研究会さんに問い合わせて確認してもらったところ、見つけた成虫はオオオバボタルであるとのことでした。

 

オオオバボタル  

・分布 本州・四国・九州。
・生息地は、山地が中心、最近は東京都の高尾山(600m)のように低地の山地にも降りてきている。本土産の陸生のホタルの中では一番大型でゲンジボタルと同じくらいの大きさがあり、前胸の赤い斑紋が大きく鮮やかで触角も長く、見方によってはゲンジボタルより美しい。
・この種の最大の特徴は本土産のホタルの中で唯一、幼虫の主要な生活場所が林地に転がる腐蝕した放置木の中だということ。幼虫は、自分で木に穴を掘ることはできないので、カミキリムシの穿った穴を借用している。幼虫の主食はミミズですが、この他に多様な土壌動物を捕食していると思われる。成虫は発光しないといわれていたが、2002年の6月、八王子市の上恩方町板当沢で羽化した当日から2日間、雄成虫の発光が初めて確認された。
・この種の幼虫はオバボタルと酷似していて判別が難しい。

 陸生ホタル研究会さんから、見分け方や、その他アドバイスをいただきましたので、下記に記します。

【オバボタルとの違い】
(成虫)前胸の赤斑の大きさと、触角の大きさで区別できます。また、前  

    胸の形について、オオオバボタルは赤班が大きくて平たく、オバ

    ボタルは小型でふっくらとしています。


(幼虫)背板の尾端から3節が白いのがオオオバで、2節白いのが

    オバボタルです。

【アドバイス】
オオオバの成虫を見かけた場所には、近くに腐食して苔の生えた放置木か杉の切り株などがあるかと思います。軍手をはめた手で取り崩せる程度の
腐食状態ですが、これから秋になりお彼岸すぎあたりにやってみるとオオオバの幼虫が出てきます。
出てきたら、そのまま元のように蓋をしておくと、今年の冬の観察記録が撮れますし、来年の5月には,さなぎの写真がとれますよ。

 オオオバボタルもオバボタルも、ゲンジボタルやヘイケボタルと違い一年を通じて陸上で暮らす陸生ホタルです。ヒメボタルやマドボタル属も同様です。これまでちはや園地で私が確認したホタルはヒメボタル(成虫)、マドボタル属(幼虫)、オバボタル(幼虫)で今回のオオオバボタルと合わせて4種類のホタルを確認できたことになります。

 上記のアドバイスを参考に、ちはや園地で幼虫を探してみたいと思います。
 この自然の不思議コーナーには過去にも陸生ホタルの話を載せていますのでご参照ください。
 ・No.5 陸生ホタル (陸生ホタル1~3)
 ・No.38 陸生ホタル4 オバボタル

 (ogi 2023/7/21)

【参考サイト】(ホタルに興味のある方は覗いてみてください。)
オバボタルとオオオバボタルの比較
「本土産オバボタル属オオオバボタル・オバボタルについて」

              (陸生ホタル生態研究会活動報告)
「荒れた森林環境を逆手に取ったオオオバボタルの生態について」

  (公益財団法人たましん地域文化財団「多摩のあゆみ第114号」小俣軍平 氏著)

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