先日、ちはや園地でナイトハイクの下見をした際に、写真の幼虫を見つけました。これまでちはや園地ではイベントの際にヒメボタルの観察をしており、それ以外の陸生ホタルの幼虫も発見していましたが(陸生ホタル1~3参照)、まだヒメボタルの幼虫は見つかっていませんでした。
今回見つかった幼虫はこれまでのものとは形が違っていたので、「これはヒメボタルの幼虫ではないか?」と期待しました。
念のため、これまでもお世話になっている「陸生ホタル生態研究会」さんに、メールで写真を送り問い合わせてみたところ、「写真の撮影時期や生息場所から考えて、これはオバボタルの幼虫だと思われる。」との回答をいただきました。
そこで、オバボタルについて、改めてホタル関係の本やネットで調べてみました。あくまで参考程度ですが下記のとおりです。
オバボタル
大きさ:8~10mm
生息域:本州、四国、九州、北海道
活動時間:(成虫)昼行性
(幼虫)夜行性
生息環境:(成虫)林縁の開けた草地等。雑木林の朽木の下。
(幼虫)落ち葉の上や中、地面の上。
生態:(成虫)発光器を持ち、羽化直後は発光するが、その後はほとんど
光ることはない。触覚が発達しており、発光ではなくメス
が放つにおい(フェロモン)によって配偶行動を行う。
(幼虫)森林の土壌の中で小さなミミズなどを食べて生きている。
その時に弱い光を出している。幼虫の発光は求愛行動では
なく、天敵から身を守るためと考えられている。
名前の由来:オバボタルの『オバ』は『姥』の意で、前胸背板の赤斑が
能面の『姥』に見えることから名づけられた。
これまでちはや園地では、ヒメボタルの成虫とマドボタル属の幼虫を見つけていましたので、今回発見したオバボタルの幼虫を加えると少なくとも3種類の陸生ホタルが生息していることになります。今後はヒメボタル以外の陸生ホタルの成虫を探してみたいと思います。
また、今回はヒメボタルの成虫の飛び方をじっくり観察してみました。見ていると1ヶ所に留まり長い間隔で光る者と、飛びながらストロボのように1秒間隔位で光る者がいました。恐らく前者は飛べない雌で後者は雄ではないかと思います。何匹かの雄が点滅しながら飛んでいましたが、そのうち点滅のタイミンクが次第に同期してきます。しばらくゆっくり飛んでいた雄は雌の光を見つけると速度を上げて一直線に雌のところへ飛んでいきました。これが、「雄と雌の出会いなんだな~」と実感しました。
いろいろ調べていると、ホタルの雄と雌のコミュニケーションの取り方には種類によって違いがあるようです。また、夜間照明がホタルのコミュニケーションや発行時間等に影響を与えているという話がありました。
ちはや園地でも毎年観察しており、今回は夜8時頃にヒメボタルの飛翔を確認しその後12時頃にも確認しましたが、活動が活発になるのは時間帯によるのか、気温によるのか、天候によるのかよくわかりません。
もしかすると、こうした我々の行動がホタルの活動時間に影響を与えているのかもしれません。そういえば以前ホタルの写真撮影をしている時、カメラの設定のために液晶画面が表示されると、それまで周りにいた蛍がスーッといなくなったことがありました。
今後はイベントや観察の際には、赤セロファンでライトを減光するなどの配慮が必要だと改めて感じました。(ogi 2019.july)
※参考図書:『親子で楽しむホタルの飼い方と観察 図解』(ハート出版)