2月半ば、某所での出来事でした。
知人が、「この池に生き物がいっぱいいるで」と言います。落ち葉が沈んでいるだけの何もいないところだと思っていたので、とても驚きました。
池は、水深15センチ程度、1メートル四方くらいの大きさでコンクリートに囲まれています。
彼がおもむろに池に手を突っ込み、何もないように見えるところから何かをつまみ出した。手の平に乗っているものは、茶色く変色した葉っぱです。
手渡された葉っぱをしげしげ見てみました。
それはただの落ち葉ではありませんでした!
小さな葉っぱが貼り合わさっていて、煙草のような筒型です。
「この中に生き物がいるんや」と言われて「えー!?」と叫びました。
葉っぱの筒の中にいたのは、『水中版ミノムシ』・トビケラの仲間の幼虫でした(豆知識:トビケラとガは共通の祖先を持っている)。
こねくり回してもビクともせず、しっかりかっちり作られています。しかも小さな葉っぱでミノを作っているのではなく、葉っぱを小さく丸く切って重ね合わせているのでした。見た目はごく自然です。落ち葉の沈んだ水の中にあれば、素人目にはただの落ち葉です。様々な角度から観察しつつ、写真を撮っていると、トビケラ幼虫の半透明の頭が、筒の先からもぞもぞと出てきました。「早く水の中に戻して」と言わんばかりでした。慌てて水に戻しました。
何もないと思っていたところから、素敵な生き物を見つけ出してきた知人は、まるでマジシャンのようでした。しかし、彼はマジシャンではなく、『見つける目』を持っていたのです。その目を持っている彼自身もすごいけど、それを私に伝えてくれたことがなにより嬉しかったです。
見つける目を受け継いだ、とばかりに私も目を皿のようにして池を探しました。残念ながら、にわか仕込みでは、発見できず仕舞いでした。
彼らが水中でどんな風に生活しているのかを調べて、次回は自力で見つけられるように修行してみます。ただ、トビケラも一年中幼虫でいるわけではないので、期限付きの修行です。
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